176. 2014年8月3日、New BMW M3 VS Porsche Boxster 981

ついに、ついに、BMWの最新のM3を約1時間試乗しました。懇意にしているBMWの営業さんに首都高速を約1時間、試乗させてもらったのです。助手席に営業さん、後部座席に妻を乗せ、GOとなりました。


ニューM3は、馬力が430馬力オーバー、トルクもモリモリあります。この車とガチンコで僕の非力な265馬力のボクスター981（素、MT）が立ち向かいます。試乗し、両者を比較するのは、これまた非力な私です。私のレベルと言えば、ドリフトで言えば、定常円旋回、8の字ドリフトが出来る程度です。グリップは、南千葉で34.423秒がベストタイムな超初心者レベルです。課題だらけの超未熟ドライバ―です。但し、ボクスター981の素、MTに関しては、日本で一番楽しんでいる者の1人でしょう（笑）。これは自信があります。


こんな私と私が最も恐れている女、妻が乗ります。


さあ～、結果はどうでしたか！　幾つかの項目で比較してみました。


1.　運転の面白さ、わくわく感


断然、ボクスター981（素、MT）の勝ちでした。思ったのですが、M3は乗用車でした。ボクスターはスポーツカーでした。M3は確かに凄いエンジン積んでいます。パワーはボクスター981（素）よりも、165馬力プラスです。この差は大きいでしょう。しかし、M3をもってしても、GT-Rと比較すれば大人と子供でした。GT-Rで感じた化け物感はM3には感じませんでした。パワーは慣れてしまうと物足りないです。M3は運転している最中にもうそのスピード感に慣れてしまいました。というより、パワーがある他の車には何度も乗っているので、430馬力のM3のパワー感に感動ということは全く無かったです。


ボクスターは何だかんだ言っても、「やはりスポーツカーだな」と思いました。ボクスターで慣れた体でM3を運転すると、「速いんだけど、乗用車だな」と思わざるを得ませんでした。何が乗用車かって言葉で表現するのは難しいのですが、まずは頭の位置が高過ぎました。ここがまず違います。M3の場合、シートを一番低くしても頭の位置が高いだけで、もう乗用車ライクなんですよ。ここはどうしようも無いです。頭の位置が地面に近い所に位置していないので、スポーツ感が乏しくなります。元々が乗用車なんですから当たり前と言えば、当たり前なんですが、ボクスターの低い頭の位置が楽しくてたまらない僕としては、ここは大きな違いでした。


ハンドルから伝わってくる路面のインフォメーションは互角と思いました。ここは非常に重要な点です。GT-Rが何も感じなかったのと比較して、M3、ボクスター共に、ここはしっかりとおさえているなと感心しました。


エンジンの位置も影響あるかもしれません。ボクスターはエンジンが後ろにあります。M3はフロントにあります。ここも決定打になるでしょう。フォーミュラーでエンジンがフロントにある車ありませんよね。エンジンが後ろにあり、エンジンの轟音が後ろから聞こえてくるか、前から聞こえてくるかの違いは大きいなって思います。


2.　エンジン音


スポーツカー好きにとって非常に重要な点です。この点は、ボクスターの圧勝というより、勝負になりませんでした。これは妻も言っていました。ニューM3はスポーツカーの音じゃないような気がします。とりわけ、酷かったのはニューM3のブリッピング音です。これはかなり酷かったです。「その気にならない」間延びしたビ～んという音でした。電気音のような感じと言ったらいいでしょうか。ボクスターに限らず、ポルシェのブリッピング音はクラシックの専門家も「素晴らしい、これはミュージックだ」という程、カッコいいです。年配の女性、老人である僕のオヤジ、オフクロでもニヤケてしまう程の音質です。M3の最新のブリッピング音は、ちょっといただけないです。ネットでも酷評されておりましたが、実際に聞いてかなりガッカリしました。正直、M3のブリッピング音は、僕の持っているBMW320Dのブリッピング音とあまり変わりません。これは正直、悪い意味で驚きました。


街中や高速でシフトダウンしたい気になれないです。ポルシェユーザーが何であんなシフトダウンが好きなのか改めて思いました。ニューM3のブリッピング音は正直、全くそそられないです。これはネットで多くの人が言っていることがまさにその通りでした。僕も同意見です。逆にネットで多くの人がポルシェのエンジン音、ブリッピング音にそそられる、ニヤケると言っていますが、僕はこれも全くその通りだと自信を持って言えます。


先日、ある飲み会で隣の車好きの人がエンジン音の話をしていました。「ポルシェのエンジン音は最高だよ」と話をしていました。僕は心の中で「そうだ、そうだ」と頷いていたのです。


ここは、百歩譲っても、ボクスター981の圧勝でした。勝負にならない、お話しにならないぐらいの圧勝でした。100：50でなく、100：1と言っても大げさでないほど、お話しにならなかったです。


3.　速さ


M3の勝ちです。ここは間違いないです。但し、エンジン音、ワクワク感が乏しいので、速さを楽しむという感じにならないのが不思議です。同じ400馬力オーバーでも、911Sであれば、相当に楽しいのですが、M3の場合、「超楽しい」とはならないんですね。これ不思議です。


だから、M3は乗用車なんだなと思ったんですよ。スピード出しているにも関わらず、ポルシェほど楽しくない。これって、評論家が言っていることと同じです。僕は自動車の評論家を全く信じていないのですが、この点に関しては、評論家に賛成です。


富士とか鈴鹿では、M3がボクスターを圧倒するでしょうか。ここはお話しにならないぐらいにM3が勝つはずです。430馬力が265馬力をなぎ倒すでしょう。


4.　快適性


ここは文句無く、M3の勝ちです。圧勝でしょう。後部座席も、妻も「気持ちいいし、乗り心地が大変にいい。フワフワした320Dとは比較にならないぐらいに乗り心地がいい。路面のゴツゴツを拾わない気持ちよい乗り心地よ」と言っていました。運転している僕も気持ちよかったです。何時間でも運転していられる楽な感じです。車は超剛性があるのを感じます。鬼の剛性でしょう。ここは最高でした。


さらに、信号待ちの時のアイドリング音は非常に静かです。不快な振動は全く無かったです。快適な空間でした。さらに、後部座席が極めて広く、身長の高い妻が楽勝で脚が組めます。ここは素晴らしいですね。後部座席に大人が楽々座れて、トランクもかなり広めですね。ここも利便性は最高でした。


4ドアで、大人が楽々、後部座席に座れて、トランクも広い。正直、ボクスターでは超距離旅行は大人2人では地獄です。僕1人でも、地獄ではないですが、息苦しいです。しかし、M3であれば本当に快適でしょう。安心して、何1000kmの旅行も楽しめるでしょう。


5.　まとめ


M3は超快適なスポーツカーライクな乗用車、ボクスター981は純粋なスポーツカー。


これに尽きると思います。純粋にスポーツ度を楽しみたいのであれば、ボクスター981がM3を上回ると思います。街のちょい乗りでもボクスター981は楽しめます。それはM3を圧倒していると思いました。逆に、M3は超剛性が高い鬼の剛性で、極めて重厚な空間であり、大人がゆっくりとくつろげます。それでいて、エンジンは凄いです。スポーツ度と言いますか、Fun to Drive度ではボクスターが上ですが、その分、快適性はM3が断然上回っています。その意味では、妻もご機嫌でした。何しろ、妻はボクスター購入後、2回乗っただけで、それ以降は1度もボクスターに乗ったことは無いのですからね。「2度と乗らない」と妻が言っているのですよ。それでボクスターのスポーツ度がわかりますよね。逆に言えば、ボクスターのスポーツ度はM3よりも全然上だということを普通の女性が別の角度から表現しているのです。ボクスターには2年弱で2回しか乗っていない妻が、M3ならば毎日乗れると言うのですから。この表現が適切です。女性は車のスポーツ度なんて何の興味も無いですよ。女性が求めているのは「快適性」ですよ。


その妻がボクスターをホメるのは、エンジン音とちょい悪度です。2シーターのボクスターはやはりちょい悪度が高くて面白そうと。。。　非日常性が高いですよ。女性はこの非日常性というキーワードが好きみたいです。


結論、M3は家庭を大事にする真面目な人向き。ボクスター981は非日常性を求めるワガママな男向き。


それと、僕のボクスター981（素）はMTです。試乗したM3はATでした。M4ならばMTがあります。本来ならば同じMTで比較すべきでしょう。しかし、同じブリッピングであれば、ポルシェのPDKは本当に素晴らしいです。ポルシェのPDKのエンジン音、ブリッピング音と比較すると、M3のブリッピング音はがっかりでした。320Dのブリッピング音と殆ど変らならいのですから。しかし、シフトの速さはクソ速いです。しかし、この速さもPDKや320Dと変わらないです。逆に言えば、320Dクラスでもシフトの速さは立派なもんだなと思いました。


M3は確かにいい車でした。日本車にこんな車は無いです。世界最高の車の1台でしょう。しかし、やはり出発点が乗用車だと思います。乗用車が頑張ってスポーツカーになろうとした。一方、ボクスターは出発点がスポーツカーで、何とか乗用車の乗り心地を持とうとした。出発点の違いがやはりあらわれているなと強く思いました。


M3のエンジン音、ブリッピング音は刺激的ではなかったですが、購買意欲は大きくそそられるとても「欲しくなる車」でした。320Dツーリングとは別モノです。M4のMTが運転してみたいですね。


M3のようなコンセプトの車は世界に無いです。大変に貴重な車であり、オンリーワンの車です。超欲しいですよね。ネガティブなのはエンジン音、ブリッピング音、ブリッピングのフィーリングだけでした。ここが落第点だとしても、それ以外は最高です。羊の革をかぶった狼とはまさにこれでしょう。


速さと完璧な利便性。。　これは凄いです。ポルシェのパナメーラに試乗した際に感じた失望感はM3には無かったです。パナメーラは最悪でした。スポーツ度は皆無に感じました。それと比べると
M3は別モノです。あくまで、ボクスターのFun to Drive度と比較した場合、M3は僕にとっては気持ち良さが劣ると言いました。エンジン音、ブリッピングの爽快感、頭の位置、エンジンの位置からくるスポーツフィーリング、MTの面白さ等、ボクスターの981の圧勝でした。しかし、トータルで言えば、M3は相当にイケテる車だと思います。駆け抜ける喜びは320Dには皆無でしたが、M3には間違いなくありました。これは間違いないです。


これからニューM3の購入を検討する皆様、買って後悔はまずないでしょう。一度、M3を買ってしまえば、他の車にはもう乗れないでしょう。そういう車だと思いました。M3ユーザーが、ポルシェに乗り換えることが出来るか？　これは相当に厳しいでしょう。何しろ、利便性が高いですから。これは生活をする上で非常に重要です。逆にポルシェユーザーも一度、利便性に劣るとはいうものの、ポルシェに乗ると他に浮気が難しくなります。


試乗を終えた翌日ではありますが、M3に乗れた満足感は消えることはありません。ボクスター981が圧勝の部分もありますが、M3の鬼の剛性、鬼の快適性、エンジンパワー、鬼の安定感、そして何と鬼の利便性は世界オンリーワンです。この車以外に無いのです。この車を買えば、長く保有するでしょう。燃費もこの車のパワーにしては素晴らしいです。ガソリンエンジン単体では、日本メーカーが追随できるレベルではないです。


M3君、有難う。君のエンジン音、ブリッピング音は最悪だったが、それ以外は見事だった。君は超いい車だよ。はっきり言って、欲しい。購買意欲をそそられるよ。


こんな気持ちです。


M3の試乗後、営業さんが言いました。「アルピナD3というディーゼルモデルも最高ですよ」と。


おいおい、待ってくれよ。その隠し球無しだぜ！