2013年5月8日水曜日

53. 新型911ターボ発表、PDKのみの設定

ついに待望の新型911ターボ、ターボSが発表されました。GT3でもPDKのみの設定でしたので、予想通り、ターボ、ターボSでもPDKのみの設定となりました。MT廃止です。

これは予想しておりました。ポルシェもMTの設定は今後、ゼロにするかはわかりませんが、PDKの設定中心となるのだと予想はしております(残念ですが)。

ここで、またPDKとMTの議論の繰り返しとなりますが、どちらを選択したらいいのかと。。。

僕がMTを選択した理由は、過去のブログでも何度も何十回もくどい程記述しておりますが、「アンチエイジング」のためです。クラッチを踏む左足の裏の感覚、ギアを握る手の平や腕に伝わってくる感覚、エンジン回転を合わせる微妙な調整能力等を鍛えることで限りなくエイジングを遅らせて行きたいと強く思っていたからです。

実際、ボクスター981の右MTを購入することで、明らかに、運動神経、反射神経が研ぎ澄まされてきたと感じています。普通のドライバーよりも微妙な調整能力、反応性は間違いなく鍛えられていると感じています。というか、鍛えないとポルシェのMTは運転できないですし、面白くないです。逆に言えば、ここを鍛えることにより、死ぬほど運転が面白くなることがわかりました。現在は、ボクスター981のMTを使い、スポーツ限界走行を日々意識するほど毎日が劇的に変わってきました。購入半年ちょっと経過した段階で走行距離は7000kmとなりました。この7000kmの走行により、ポルシェのスポーツ走行に必要な技術を体に叩きこんでいる真っ最中です。走れば走るほど、運動神経、反射神経が研ぎ澄まされてきていることを本当に感じています。このままあと5万km走り込めば、相当なスキルが体に叩きこまれるでしょう。

これは僕自身のお金に代えることができない貴重な財産だと思っています。まさにスポーツ運転技術というスキルの習得です。ある意味、仕事を遂行する上で必要な専門知識と同レベルのスキルと僕は思っています。何故ならば普通の人が持っていないスキルだからです。これは意識して真剣に練習を積まないと体得できないスキルです。基本練習を何度も繰り返し、恥、醜態をさらけだしても、めげずにトライした人間だけが習得できるスキルです。このスキルの有無が僕にとっては今後の49歳以降の人生に大きく影響すると思い、スキル習得に励んでいるということです。

どういうスキルかと言うと、ポルシェの限界走行というスキルです。コーナーで全輪のタイヤが鳴きまくるまで攻め、ドリフトしてもそれを完全にコントロールし、カウンターを切って車を立て直し、タイムを短縮し、限界タイムを維持できるスキルです。1周の限界のタイムを何周走っても維持できるというスキルです。

えっ、何だよ、こんなスキルどうでもいいじゃないかと。。。。

こう思う人が100人いたら99人以上かもしれません。かなりマニアックな世界です。普通のドライバーはそこまで意識して車を運転するといったことはまずしないだろうと思います。

僕が何を言いたいかというと、こういうマニアックな世界の人か、単純に両手両足を使って運転することが楽しいと感じる人以外に、MTを選択する理由はもはや無いと言うことです。

サーキットで勝って賞金をもらうために速く走りたいならば間違いなくPDKです。だからこそ、ポルシェもGT3、ターボ、ターボSはPDKのみの設定にしたわけです。MTではもはやレースに勝つことができないのですね。

実際、PDKの電光石化の変速スピードにはMT操作では絶対に勝つことはできないです。F1ドライバーでも素人のPDK操作の変速スピードには絶対に勝つことはできないでしょう。つまり、速く走るためにはMTはもはや存在意義を失っているということです。

一部のMTに拘るマニアな人間だけを対象にしたものだと言い切ってもよろしいかと思います。僕もこのマニアの人間に入るのですね。。。。まさか自分がマニアな人種に属するようになるとは半年前以上は微塵も思っていなかったです。

ポルシェがボクスター、ケイマン、911の素、S、4にMT設定を残してくれたいうのは本当に凄いことだと思っています。また世界的に見れば、日本は異常なまでにPDK志向が強いですが、ドイツ本国ではまだMT比率が高いです。英国もMT比率が高いです。イタリア、フランスはまだMT比率が異常に高い国です。これらの国もPDK比率が高まって行くでしょうが。。。

日本の事情しか知らないと判断を誤るでしょうね。

自動車販売ビジネスとして考えた場合、どうやってもPDKの方が利益が上がることは間違いないと思います。正直、MT運転に拘るマニアックな層の収入レベルは、PDKでも充分な層に比べると落ちると思います(苦笑)。つまり、運転が大好きで、スポーツ走行も大好きで、かつ十分な金も持っているという条件が整っている人を対象に、従来、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニはビジネスを行ってきたと思います。しかし、このセグメントはあまりに小さすぎました。従って、ビジネス的に行き詰まりを感じたのは事実だと思います。

瀕死の状態であったポルシェが生き返ったのも、ティプトロ設定車の登場もあったのかと思います。私の元の会社の同僚や友人も運転はあまり関心が無かったですが、ポルシェのかっこ良さにひかれて、ティプトロになって初めて購入に踏み切りました。MT設定では間違いなく購入していなかった層です。つまり、MTを離れることで、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニといった会社のビジネスは明らかに層が広がり、発展に向かったと言っても大げさではないと思います。一部のマニアックな層だけを対象にするよりも、免許とって間もない金持ちの御嬢さんでも簡単に運転できる車に仕立てた方がビジネス的にうまく行くことは間違いないと思います。

実際、僕の会社のビジネスもそうです。従来、マニアックな技術を持った人だけを対象にしたシステムであったのを、知識の無い女の子でもハンドリングできるようにすることで事業を推進してきました。自分はこの路線を今後も貫く予定です。だから、ポルシェやフェラーリの気持ちもよくわかります。

それとは別に、GT3、ターボ、ターボSといった超高性能車となりますと、MT、PDKの議論はどうでもいいぐらいに車の能力が高くなります。GT-Rもそうですね。車の能力があまりにも高すぎるので、もはや人間のMT操作ではその高いずば抜けた能力を引き出すことはできないと思います。コンピューターの力を借りた方が、人間のMT操作よりも絶対に速く走れるでしょう。まさに化け物ですからね。化け物を人間のMT操作でやっても、コンピューターに勝てるわけないですし、実際、サーキットでこれらの化け物を限界走行させるのであれば、MTもPDKも関係無く、これは絶対に面白いでしょう。もし、自分がGT3、ターボといった車をサーキットで走らせるのであれあ、MTではなくPDKを選択するでしょう(というかPDK設定しかないですが)。これならばMTでなくとも、アンチエイジングは全然に可能ですよ、絶対に。サーキットで死ぬか生きるかといった速度でPDK走行できるのであれば、これは本当に痛快そのものでしょう。MTである必要は全く無いと思います。

僕が言いたいのは、超高性能ではないボクスター、ケイマン、素の911、911Sぐらいまでであれば、人間のMT操作でも恥ずかしくない領域で面白さを体感できるということです。つまり、GT3やターボであれば、MT操作はもはや恥ずかしいほど遅いのですね。MT操作していること自体が完全に時代遅れとなります。しかし、ボクスター、ケイマン、素の911、911Sぐらいまでであれば、MT操作でPDKに恥ずかしいほど遅れをとることは無いということです。腕のある人間であれば、MT操作でPDK乗りに勝つことも可能でしょう。しかし、GT3、ターボとなれば、MT操作をしていること自体が恥ずかしいぐらいに遅いと思います。今後、車が高性能化していくと、MT操作をしていること自体が恥ずかしいぐらいに遅くなることは想定できますよね。その際は、「MTよ、さらばじゃ」となると思います。

カメラでもそうでしたよね。完全マニュアルで撮影してエラそうにしていた時代はもはや過去の話。今や瞬時に動的被写体を一秒に何枚も連続撮影できる時代です。コンピューターは凄いの一言です。僕もカメラ大好きで、マニュアルカメラを集めていましたが、もはやデジタルカメラ、iPad miniを1年に1回買い替えるほどに変わってしまいました。

クルマはどうでしょう。。。。カメラとはわけが違いますか。。。。

事実、フランス、イタリア等のヨーロッパでは未だにMT比率が圧倒的に高い国です。80%は超えているでしょう。MINIやフィアットアバルト等のレースは頻繁に行われていますが、そこでは全てMTです。日本とは全く異なります。シーケンシャルも使われていない純粋なMT操作でレースがかなりたくさん行われているのですね。これが車大国のヨーロッパの現状です。ある意味、MT操作はスポーツなのですね。僕もMT操作を真剣にするようになって、スポーツ走行のMT操作って、人間の反射神経、運動能力が高い人でないとできないな~って思うようになりました。ヨーロッパの草の根レース大会を見ていると、MTで行われているのは、低コストで運動会を楽しむというコンセプトに近いものを感じます。PDKだから速く走れるというよりも、単純にMT操作能力(運動能力、反射神経)を競う闘いのような気がします。だからこそ、中田がティプトロの911をイタリアに持ち込んだ時、「こいつ本当に大丈夫か」と騒がれた話がありますが、まさにあれなのでしょうね。MT比率が95%のイタリア人からすれば、ポルシェのティプトロに乗っているスポーツ選手を初めて見たという記事が出るのは頷けます。

ポルシェがいつまでマニュアル設定を残すかはわかりませんが、自分もGT3やターボといった超高性能車でない限りは、MT操作をエンジョイし、アンチエイジングに邁進しようと思っております。

但し、ここで思っていることは、ポルシェだからMT操作なのであって、それ以外では、自分はAT志向です。正確に言うと、ポルシェ(GT3、ターボは別)だからMTが楽しいのであって、クラウンや普通の乗用車であればMT運転が楽しいとは思わないです。マツダのロードスターもMTが楽しい車でした。86もMTの方が面白いでしょう。MINIもMTは面白いです。しかし、一般の乗用車であれば間違いなくATです。ランクルを所有していますが、勿論、ATのみの設定で、MT車があっても選択はあり得ないです。走る目的が違いますから。実際、ランクルでの楽ちんの長距離旅行は痛快、最高です。これはポルシェでは味わうことができない至上の喜びの世界です。ここではどれだけ楽に運転可能かといった点が求められることです。ランクルは7年乗っていますが、Dレンジ以外で走行したことは無いです。1速、2速にギアを落としたことが記憶には無いです(笑)。Dレンジ以外では、バックギアに入れた経験しか無いです。本当にギア変速ができるかどうかもわからないほどです。。。。

また、自分の場合、ポルシェのMTだから、朝4時に起きて、練習走行したいと感じるのですね。これがPDKであれば、中吹かし、ヒール&トウも不要なので、練習などしないです。回転合わせなど全くいらないスキルになりますからね。。。。。MTだからこそ、できないと話にならないのです。しかし、これが手動で出来ることこそがアンチエイジングに役に立っているので、話がやはりここに戻ります。

今はポルシェのMTが自由自在にできるという喜びよりも、ポルシェのMTが自由自在にできるほどに運動神経、反射神経が研ぎ澄まされてきており、これをあと何年維持できるかという所に関心があります。狙っているのは、運動神経、反射神経の維持です。これが目的なので、ポルシェのMTをこの実現のために手段として活用するということに尽きます。俺もこんなにまだ体、頭が反応するんだと最近、思うことが多くなり嬉しく思っております。これはボクスターのMT操作の鍛練のお蔭ですよ。。。。本当に。。。。。

繰り返しになりますが、ポルシェを運転すると言っても一般公道が大半となります。サーキット走行は限られた回数しか無理です。これが普通だと思います。であるならば、街中での運転をどう楽しむか、さらに、同じ楽しむならば、それをアンチエイジングにつなげたいというのが僕の場合の目的であることをもう一度確認しました。ターボ、ターボSがPDKのみの設定であったことで改めてそのことを確認しました。

新型のターボ、ターボSの発表で、こんなことを考えさせられたのですね。。。。

4 件のコメント:

  1. はじめまして、貴殿のブログを興味深く読まさせていただいています。
    そしてなによりどの記事も共感することばかりでいたってもいられずコメントさせていただきます。

    私は、免許をとってから20年以上になり9台ほど車を所有してきました。うち1台を除いてすべてMTです。時代の流れに一度のってみようと2ペダルMTのM3に乗りましたが、1年持たずに左MTのM3(現行)に乗り換えてしまいました。

    私はエージングという概念は特になかったのですが、右手左手右足左足とすべてつかって機械を操るというところに楽しみや喜びを感じています。街中走行でも車との対話距離がなんとなく近い気がしています。シフトミスや回転あわずにシフトアップしたりでぎくしゃくして、また鍛錬するのも一つの車との楽しみ方の一つです。なので、都会の運転でも全くMTは苦になりません。渋滞はそもそもATでも精神的に嫌なものですから...

    私の夢はロッソコルサ色のフェラーリを持つ事でした。まぁサラリーマンなんで無理だとは思いつつ夢は夢、とおもっていましたが、430を区切りにMTは存在しなくなりました。そんなこんなで急浮上してきた夢の車が、911GT3/GT3RSです。
    その存在感やのせてもらった時に感じた高揚感とか人馬一体感に震え、いつかはGT3。そんなやさき、991型ではPDKのみとなってしまい、落胆しています。
    各メーカーのフラグシップ車はニュルで何秒というタイムとつねにセットで語られますから、ポルシェも仕方なかったのかなーと思いつつも、お得意のオプション先方でMTをのこしてくれなかったのかな、というのが本音です。

    私の車好きの英会話の先生ら(欧州米)は、皆、世界でも優秀な車メーカーをもつ日本人がなぜATばかりにのるか分からないといっていました。ある本によると、農耕民族であった日本人は道具を作るのが上手で、一方狩猟民族の欧米人は道具を使うのが上手、そのあたりで車の見方がちがうのかも、なんてのも読みました。

    とりとめない文章ですみません。実は、次は新型ケイマンのMTにしようかなーと思っています。今後の日記も楽しみにしています!

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    1. コメント有難うございました!! 同感、同感でございます。全く同感です。大変に嬉しいコメントでして、貴殿のような方がいらっしゃってホッと安心致しました。今日はよく眠れそうです。これマジです。 日本も自動車大国なんですから、もっともっと車で遊んでいる人がいてもいいですよね。MTでバンバン楽しんでいる人がいてもいいかと思います。

      新型ケイマンのMT、最高だと思います。僕はツインリンクもてぎのサーキットでPDKで走りましたが、退屈でした(爆笑)。。。本当に限界走行ならば面白いのかもしれませんが、ワクワク感が無いです。シフト操作の失敗が有りえないのでプレッシャーがまるで無いです(笑)。。

      新型GT3にMTの設定が無いことで、何件か失注している営業マンに会いました。MTの設定が無いならば買わないというポルシェファンが多いようです。今日、ポルシェの集いがあり、見に行って来ましたが。皆、MTは楽しくてたまらないと言っていました。プロレーサーでないので、楽しければいいと言っていました。しかし、GT3のMTは本当にカッコよかったです。クラッチのキレ、ギアのキレは最高でした。カチカチ感、スパスパ感は最高でした。これは凄いと思いました。

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  2. 返信ありがとうございます!前コメントは匿名ですみませんでした。

    MTに対する熱い思いを頂けるだけで私も今夜はクソ仕事を忘れて眠れそうです(笑)
    先日、ニューケイマンのPDKを好き放題試乗したのですが、乗れば乗るほど「MTで乗りたい」という気持ちばかりが高まりました。軽量化された車体と程よいボディサイズ、それに見合ったミッドにのったエンジンを操っていると、もっとシンクロしたい、というか操作したい感が高揚しまくりです。特に公道のような法定速度内で走るときには、どこか遊びというか車ともっとアナログ的に対話したくなるんです(恐らく気持ち分かってもらえるとおもいます!)

    ブログに書いたのですが、先日、幸運にもガヤルドのMTを運転する機会がありましたが、こちらも驚愕の体験でした。操るという次元ではなく、起こしてはいけない悪魔をうっかり召還してしまったような気分でしたが、シフトを重ねるたびにすこしずつエンジンの特性とかシンクロの入りとか分かってくると、なんだか手なづけているような気分になりました。オーナーもMTぞっこんな人でずっとMTを探していたということで、MT談話に花が咲きました。

    最近、GTーRに乗っていた複数の知人が997GT3などMTに乗り換えているのを聞くとまだまだ試乗ニーズはあるとおもうのになぁと思って仕方ありません。
    また支離滅裂の文章ですみませんが、引き続き貴殿のブログは楽しみにさせていただきます。一度愛車を拝見したい所存です...

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  3. ガヤルドのMTですか!!!! それは最高でしょうね。ぶっとんでますよ、ガヤルドのMTは。噂聞きます。貴殿のコメントを震えながら読みました。面白さが伝わってきます。いい経験なさったと思います。

    新型GT3、ターボはPDKのみの設定ですが、市場ニーズを尊重し、MT車が遅れて登場するのではないかと期待しています。ポルシェの世界のファンは、MT大好きな人がたくさんおりますからね! フェラーリに乗る人とポルシェに乗る人ってセグメントが違うと思います。ポルシェに乗る人の多くは「走りを楽しむ」人だと思います。サーキットでプロとしてタイムアタックをしなくても、通常走行で「走りを楽しむ」人、絶対に多いはずです。MT大好きなポルシェ愛好者が、「MT廃止」に異論を唱えて活動を起こすのではないかと思っております。MT廃止になると、欧州ではMT率が日本と比べて全然高いので、売上は50%以上は半減になる可能性高いですよ。現在、MT販売比率は、欧州では65%ぐらいと言われています。PDKになると、50:50ぐらいになると推測されています。とすると、MTが無くなると、ポルシェの売り上げは半減する可能性がありますよ。

    997GT3、いいですね~。。。これはめちゃくちゃ面白いですよ、きっと。

    今後も痛快なMT人生で走ります。

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