右ハンドル、MT仕様のBoxster981型の発注後、目黒PCのH氏から、新型ボクスターの展示が始まりましたと連絡がありました。カタログではない現物を初めて見ます。現物を見る前に発注していたのですね。。。。勿論、試乗もせずに発注していたわけです(笑)。
これはもう、ポルシェを信じていたわけです。そしてH氏を信じていたわけです。
連絡を受けた後、週末に妻と一緒に目黒PCに出向きました。H氏の解説を2人で受けました。その時、私はH氏に「妻はスポーツカーに乗った経験が無いので、911でちょっとこの街中を飛ばしてみて頂けますか。H氏に運転して頂き、妻を助手席に乗せます。僕は後部座席に座りますので。。」とお願いしてみました。そして、「可能ならば、暴力的に攻めて頂けますと幸いです」と付け加えました。H氏曰く、「そりゃ~厳しいな~。奥様から出入り禁止って言われちゃいます。」と。。。いいながら、H氏の顔がにやけていたのをハッキリ覚えております。ボクスター購入を許可した妻が、「これは危険だからキャンセルしろ」と言ってくる可能性もありました。妻は安全第一の人間です。運転速度や車間距離にもうるさいです。高速道路は時速100km以上の運転はさせてくれません。車間距離も100mは開けて運転することを指示してきます。試乗前はキャンセル覚悟のドキドキでした。
数分後、親切にもH氏は911Sを用意してくれました。PDK仕様です。H氏は運転席に座り、妻が助手席に、そして僕が狭い後部座席に何とか乗り込みました。さあ、妻にとってのスポーツカー初体験が始まりました。何が始まることやら。。。。。ドキドキ。。。。
911Sのエンジン音がごお~んと響きます。最初の信号を曲がると、上りの道がしばらく続きます。前に1台の車がありました。
すると、H氏は急に車を徐行し、止めました。前の車が消えるまで待ちました。アレっと妻は思ったでしょう。H氏は一体何をするのかと。
H氏は「さあ、行きますよ!」といい、アクセルを吹かしました。911Sはドカ~んと加速し、僕らはシートに叩きつけられました。妻の「キャ~」という叫び声が聞こえました。嫌がる叫び声に聞こえませんでした。顔は見えませんでしたが、喜ぶ叫び声です。中年女にしては反応がいいな~っと思いました。前の車に近づき、10メートルぐらい手前まで猛烈な加速です。
「ぶつかる!」って思いました。しかし、H氏は何事も無いようにブレーキし、数メートル手前で見事に車は止まりました。「ポルシェのブレーキは本当に素晴らしいです。このような運転ができるのもブレーキ性能がずば抜けているからなのですよ」と。完全にぶつかると思ったのですが、本当に何事も無いように止まりました。これには驚きました。次は街角のコーナーです。信じられない速度でH氏が攻めて行ったのです。僕は思いました。「この人、狂ってる」って。。。。
その後も、街角コーナーを攻めて頂きました。そうです、ここは一般公道です。そこを果敢(無謀?)にもこのような攻撃的、暴力的な攻めの運転をするとは!!! しかし、911Sは極めて安定していました。鋼鉄が道路にノリでくっつけられているのを剥がしながら走っているかのような気持ちでした。鋼鉄ロケットと道路の間にノリがあり、タイヤと道路の間には何の隙間も無く、ピタッとはりついている感じでした。全く不安を感じませんでした。
一般公道でのH氏のとんでもないカミソリ走行のデモ運転が終わりました。妻も僕も車を降りました。H氏がこそこそと僕の耳もとで「奥様に嫌われたんじゃないかと思います。こんなことをやるべきではなかったと思うんですけど。。。。」と。僕は「依頼したのは僕です。しかし、凄かった。本当に凄かった。凄すぎた」とハアハアしながら言いました。
H氏は「ポルシェにはスポーツドライビングスクールがあります。そこではポルシェ車をいかに安全に速く運転するかというトレーニングを行っています」と説明してくれました。
私は「いやいやそこまでは結構です。やり過ぎですよ」と苦笑い。
そこに妻が口を挟みました。
「あれっ、あなたが行かないならば、私は行ってくるよ」と。
僕はただただ唖然とするだけでした。
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