2015年4月2日木曜日

200. ドイツ旅客機の墜落で思ったこと

ブログを書き続けてもう200回目となりました。初めはボクスター981を購入したので、それに関する記述をするつもりでした。しかし、いつのまにか、仕事や家庭に関して思うことが多くなってきました。男51歳になりましたので、何かを語りたくなったのですね。若い人との酒の付き合いとかをしていると、50歳を超える男として、「こんなことを考えて欲しいな~」って思うことがあります。勿論、強制することは出来ません。あくまで検討して欲しいな~って思うことです。


仕事に対する取組み方や家庭のこととかです。でも、僕は中小零細企業の経営を行っていますので、やはりテーマは仕事に絡むことが多くなってしまいます。僕は大学出て、銀行に勤めたこともありますし、大企業に勤めたこともあります。企業では国際ビジネスを長い間やってきました。しかし、今は海外との接点は皆無です。超domesticな毎日です。そういう経験を元に、零細企業の経営をしています。大企業のサラリーマンと零細企業の経営者という極端なことを経験してきています。だから、企業で働く人達の気持ち、立場はよくわかるつもりです。それと同時に中小企業、零細企業のおっさん経営者の気持ち、立場もよく分かります。


全然、クルマとは関係ないことですよね~、本当に。ボクスターとも関係無いですよね~。


でも、南千葉サーキットでお世話になっている方や、同じボクスター仲間や、ポルシェ仲間、クルマ仲間とお付き合いさせて頂いておりますと、怠け者は皆無だと思うんですよ。やはりクルマの購入、維持は金がかかるんだと思います。それを実現するためには一生けん命に働く必要があるのではないでしょうか。僕も彼らとお付き合いさせて頂くことで、相当にいい刺激をもらっています。モティベーションアップとなっております。学習することも相当にあります。


そんな気持ちになったからこそ、クルマ以外のテーマに思わず行ってしまったのではないかと思っています。


最近では、ドイツ旅客機の墜落事故の件で考えました。副操縦士は精神障害を患った方でしたね。病気治療のためだとは思うのですが、訓練を一時休んでいたことがあったとのことです。結果として、無事にパイロットになることが出来たということは、精神障害の病気を克服して、パイロットに成れた、会社もそれを認めたということだと思います。


うつ病やアスペルガー症候群の方をどう対処するかで社会的にも問題になっています。そういう方の社会復帰をサポートする団体や企業も増えてきています。超ストレス社会ですので、うつやアスペルガー症候群の方が増えてきているのはやむを得ないでしょう。


僕の会社でも、精神疾患の若い方を採用した過去があります。僕の気持ちとしては、精神疾患や障害がある方とも、きっとうまくやって行けると信じていました。彼らが何故、そうなってしまったのかをキチンと理解し、彼らの親代わりになれればきっと彼等は社会にキチンと貢献できる若者になるだろう、そして最終的に我が社にも貢献してくれるだろうと信じました。


僕は本気で彼らと付き合いました。少しでも彼らの気持ちを理解しようと努めました。ほぼ毎日、彼らと夕食をとったり、酒を飲んだりもしました。一緒に議論をし、語り、仕事も煮詰めました。彼らの支援者になろうと思いました。その僕の気持ちを彼らもよく理解してくれました。彼らは一生懸命に応えてくれました。成果も出すことが出来ました。僕はその時、思ったのです。精神疾患・障害がある人でも、分かり合えば必ず克服できると。精神医学で治療が出来なかった彼らが、僕の会社では絶対に蘇生できると。僕は彼らとはうまくやってみせると心の底から思いました。


しかし、現実は甘くありませんでした。結果として、精神疾患のある若者全てと「これ以上は一緒に仕事が出来ない」という寂しい結末を迎えてしまったのです。僕はやるだけのことはやった、これ以上はできないと悩みました。でも、自分に何が足りなかったのかを考えました。彼らに何をしてやれば良かったのかと。


懇意にしている精神科医の知り合いに、悩み相談をしました。


そして、衝撃的な答が返ってきたのです。


「アスペルガーや精神疾患の人をあなたは絶対に採用してはいけませんよ。あなたは慈善事業をしたいのですか。資本主義下での会社経営をしたいのでしょう? 悪いけど、あなたのような中小零細企業は慈善事業をやるだけの余裕は無いはず。あなたは会社を潰す気ですか。大企業であれば障害者を採用するだけの資金的余裕がありますが、あなたの会社ではそれは無理でしょう?」と。


そして、精神科医は続けました。「精神疾患の多くは治療が困難です。プロである我々が治療しても極めて厳しいのです。ど素人のあなたが会社経営の中で改善をしようと思っても恐らく不可能と言ってもいいでしょう。悪いこと言わないから、おやめになった方があなたのためです。」


僕は反論しました。「しかし、それを治療するのがプロである精神科医の仕事じゃないのですか。治療が出来ないなんてそんなに寂しいことは無いと思います」と。


精神科医は言いました。「あなたはロマンを抱いているのです。勿論、悪いことではないです。人間として、経営者として頑張っているのはわかります。彼らのことを心配し、思う気持ちもよくわかります。それ自体はとても意味があることです。しかし、私はもっと現実的なことを言っているのです。ロマンで語れるほど、現実は甘くないのですよ」


彼はさらに続けました。「あなたのような素人の方は、精神障害の治療の現場の本当の姿を知らない。人間がどれだけ醜いものかをあなたは知らない。と言うか、知らない方がいい。私達は仕事で毎日、何十人という精神障害者と向き合っているんです。そして、闘っているんです。その私がプロフェッショナルとして、あなたにそういう方を採用してはダメだと言っているんですよ。いいですか、あなたは資金繰りに余裕の無い中小企業の経営者ですよ。いいですか、大企業の経営者ではないんですよ。ここが肝心なんです。あなたは精神障害者と向き合っている時間が無いんですよ。しかも、精神障害は大半が再発します。納期管理のプレッシャーがある仕事、実現するのに努力を伴う仕事、他の人間とコミュニケーションをとる必要がある仕事を彼らが取り組んだ場合、100%、病気が再発すると考えて下さい。」


さらに彼は続けました。「いいですか。この世の中に、納期管理のプレッシャーが無い仕事、実現するのに努力を伴わない仕事、他の人間とコミュニケーションをとる必要が無い仕事なんて、ありますか。ないでしょ? 納期無し、努力する必要も無し、コミュニケーション不要なんて有りえないでしょ? 現に、あなたの会社の例でも、納期が迫ってきたり、難しい仕事になると、彼らは豹変するでしょう?」と。


全くおっしゃる通りでした。仕事には納期もあります。実現するのに勉強しないといけない仕事もあります。当然、いろいろな方の意見を聞き、調整していく仕事も多数あります。そういう局面になった時、精神障害を持った方は、共通して、音信不通となりました。連絡してもどこにいるかわからないという状況です。自宅引きこもり状態となるのですね。


彼らを勇気づけようと思っても、それが逆にプレッシャーになり、引きこもり状態が終わりません。そういう状態が長く続き、結果として、納期が守れない、製品レベルは極めて低いということになってしまいました。とりわけ、一番寂しかったのは、「製品の品質レベルが低い」ことの改善が全く出来ないことでした。これは僕が一番拘っていたことです。


僕のポリシーは、「社会に役立つものを提供する。そのために社会が必要としていることを細かく抽出し、それを他社よりも高いレベルで実現する。但し、その実現にあたり、いかに短期間で低コストで効率良く実現するか。クライアントにも低コストで提供し、破損の場合も数分で修復できる」ということでした。ここだけは譲れないことでした。彼らから出てきた言葉が僕には納得いかなかったのです。彼等は言いました。「そこまでは必要無いですよ。何故ならば........だからです。壊れたら、......社に責任取らせればいいですから。金はいくらかかってもいいんじゃないですか。....社ならば大手ですし対応は可能ですよ」と。


この回答が返ってきた時、彼等と長時間、議論をしました。しかし、彼等は言い訳ばかりでした。僕は言い訳をしたり、誤魔化したりすることが何よりも嫌いです。ミスをした場合は「認める、謝罪する、何故ミスをしたのかを考える、改善する、もう一度結果を出す、良くなったことを把握する」のサイクルが何よりも重要だと思うのです。精神障害の方の共通した姿勢ですが、ミスをした場合、「絶対に自分のミスを認めない、改善しない」でした。


彼等の仕事のアウトプットでは、ミスしたままの納品とならざるを得ないために、7年経過した今でもまだ不具合で悩んでいます。あの時、彼等の主張を尊重し、ミスを修正せずに、納品したのですね。彼等を尊重した結果でした。しかし、現実には、ミスはミスなのです。あの時、彼等の主張を修正できたらと悔いが残ります。当時の僕は、精神障害を持った彼等にミスを認めさせること、修復のためにハードワークをさせることが出来ませんでした。彼等の負担になってしまうのではないか、彼等がやる気を失ってしまうのではないかと思ったのです。彼等の病気を考えすぎ、経営者として毅然と進むべき道が歩めなかったのです。今でも毎日、落ち葉拾いの状態が続いており、弊社の不安の種となっています。しかし、これも僕の責任です。


数年は精神障害の方達とのやり取りに追われました。業務スピードも落ちました。会社としての本来の仕事に取り組むのではなく、彼等とのコミュニケーションに追われました。その時、知り合いの精神科の知人に上記のようなアドバイスをもらったという経緯です。


僕は結論を出したのです。「もう彼等とは出来ない」と。


中小零細企業の生きる道は、「低コスト、大企業に出来ない高品質と柔軟性、短納期、小回り、スピード、大企業でできない高機能、ユニーク性」等なんです。信頼が無い分、それ以外の面で勝たないと誰からも見向きもされないんです。経営者として毅然と向かうべきだと結論を出したのです。


それ以降、会社としての方向性を定めました。


精神疾患のある方は会社には採用しないと。どれだけ能力が高そうに見えても、精神疾患の方はやめておこうと。


辛い決断でした。これだけ精神疾患の方の社会復帰問題が論じられている時、自分の会社がその面で貢献が出来ないという事自体に力不足を感じました。


この点に関して、知り合いの精神科医が言いました。「気持ちはわかりますが、あなたの会社ではそこまでやる必要が無いです。余裕のある大企業がやるべきこと。あなたは別な所で社会に貢献できるように頑張ることが重要ですよ。出来ないのに無理して、役に立とうなんて考えるのはやめましょう。しっかりと自分の会社の仕事を育てて下さい」と。


これまで、一緒に仕事をしてきた精神疾患の若者の顔が浮かびました。一緒に酒を酌み交わし、語り合った日を思い出しました。彼等が僕らの会社にしてくれたことを思い出しました。病気が発症しない時の彼等は素晴らしいものがありました。病気が発症しない時は、何ら普通の人と変わらないと言うよりも、普通の人よりも遥かにハードワークする傾向があります。しかし、性格が急変し、病気が再発すると手に負えなくなります。


僕は思うのです。「これは病気なんだ」と。 だから精神疾患と言われるんだと。ドイツ旅客機墜落の件も恐らく同じだと思いました。副操縦士が操作中に病気が発症し、急に人格が変わってしまったのではないかと。


他人事とは思えませんでした。7年前の僕を思い出しました。ドイツの会社も、うつだと分かっていても採用したことで非難されていますが、僕はそれは逆によく理解できます。うつでも克服したと判断したので採用したのだと思います。それはそれで妥当は判断だったのだと思います。僕自身も、同じ判断を下した過去がありますから、それはよくわかります。


しかし、「精神疾患の場合、再発する可能性があり、社会的責任がある仕事の場合、担当者が再発して社会に損害を与えるリスクがある」ということだと思います。これを採用側がどう解釈するか、判断するかということになると思います。精神疾患者の場合、病気が発症すると、通常人では考えられないような行為をする可能性があると思います。そこだけがリスクだと思います。


精神疾患の方の社会復帰問題は、今回の事故を契機に、論じられると思います。パイロット、運転手等のリスクを伴う仕事に関しては、採用条件がかなり厳しくなるのではないかと思います。


今後、ストレス社会はますますその深刻度が高まるものと思います。精神疾患者は増えていくでしょう。僕の会社は当該問題で、貢献できる力が無いと判断しましたので傍観の位置づけとしました。これは力不足を認めます。


大企業の人事担当者には当該問題を真剣に検討して頂きたいと思っております。


個人的には、ストレスを解消するために、南千葉サーキットに一緒に行って、ガンガン走ろうよって真面目に思っています。ギターを掻き鳴らす等の音楽でも良しです。


南千葉サーキットのような場所で、ガンガン走ることが何と気持ちよいことか。走っている瞬間、何もかも忘れます。僕は南千葉で人生が変わりました。ストレスが本当に減りましたよ。


皆様も、是非、南千葉サーキットで楽しみましょう。

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